ぶどう・りんご君の日記

新規就農に奮闘中

晴耕雨読

五所川原は昨日、今日と雪です。冬に逆戻り。

 

こんな日は読書してます。

 

以前、レイチェル・カールソン著『沈黙の春』を読みました。

 

世界的にとても有名なロングセラーです。私が生まれる10年も前に初版が出版されています。半世紀以上前ですが、あまり古びた感じがしません。

 

内容を要約すると、殺虫剤や農薬によって害虫を駆除することを人間は考え実行しましたが、益虫まで殺してしまい、あるいは、それらの虫を餌にしていた魚や鳥も蓄積毒によってやられてしまいます。あるいは耐性をつけて駆除どころが大発生したりします。

 

自然界には害虫も益虫もありません。人間が勝手に決めつけていることです。殺虫剤や農薬によって、食物連鎖を破壊してしまうことで自然界のバランスを崩してしまうことが問題です。土も水も空気も汚れ、人間まで被害を受けています。

 

青森の農業に置き換えてみれば、確かに昔のリンゴ農家は農薬で皮膚がかぶれたり、体調を崩したりしていた話は聞いたことがありますが、現在はそんなことはありません。

 

有名な木村秋則さんも奥さんの体調不良から無農薬栽培に挑戦することになったのですから。

 

私の働くリンゴ園では、最近は鳥がリンゴをつつくようになっています。毒性が落ちたから鳥が食べるのです。

 

じゃあ、昔はどんなものを食わされていたのかという話になりそうです。実際、現代でも農薬によって虫一匹もつかない野菜を買って私たちは食べています。

 

虫、穴の開いた葉、曲がったきゅうり、泥だらけの野菜、こんなものを買いたいと思わないから生産者、販売者は消費者の意向に合う努力をした結果です。

 

農薬が全て悪いとは思いません。

 

例えば、無農薬有機栽培のタバコの葉は健康によいのでしょうか?

 

自然栽培の毒キノコ。食べたら健康によいのでしょうか?

 

人間にとって害があるかないかの問題であり、栽培法の問題ではありません。

 

私の亡き母は生前は人工透析患者でした。医者からはグレープフルーツは食べてはいけないと言われていました。

 

一般的感覚としては、果物は体によく、摂ることがよいと考えられています。

 

私が子供の頃「朝の果物は金、昼の果物は銀だよ」と言って、私に果物を食べさせようとしていた母が、病気のため、健康によいはずの果物を食べてはいけない?

 

なぜならグレープフルーツにはカリウムがたくさん含まれていて、透析患者はカリウムによって不整脈が起こり死に至ることがあるからです。

 

健康によいはずの果物に含まれるカリウムが人体内での化学反応によって健康にマイナスとなるのです。

 

有機栽培の葉タバコ、自然栽培の毒キノコと同じです。

 

こんなことから、自然栽培、有機栽培に過度にのめりこむのはやめようと考えました。

 

まずは、慣行栽培という、ごく普通の化学肥料や農薬を用いた栽培法をマスターしてから、徐々に面積を拡大しながら、有機栽培、自然栽培に挑戦していくのがリスクのない方法だと気づきました。

 

私たち新規就農者は、まずは生活基盤を築かなくてはなりません。妻と子供がいます。何十年、何百年と続いてきた既存農家さんとは基盤が違います。

 

しかしながら、時代が求めている農業に挑戦したい気持ちがあります。

 

現実と理想を天秤にかけながら、いろいろなことを吸収していく毎日です。